今は誰の音も聞きたくない。


街中から駅の方に向かって歩く。


駅の方は人がたくさんで来る場所を間違えたと思った。


私はすぐにここから出ようと歩いていると、ふと、路地の方から音が聞こえる。


ヘッドホンをしていても聞こえる。


私はヘッドホンを外して路地を入っていく。


怖いとかそんなことは思わなかった。


路地を抜けるとそこには小さなお店が1つ。


そのお店の前に立っているギターー持った男の子が1人。


男の子は全身真っ黒の服を着ている。


私が近くによると男の子も私の方を見た。


そして何も言わずギターを引き始めた。


見た目とは裏腹にガンガン鳴り響くギターの音。


私は男の子から目が離せなくなった。


なんだろう。


頭の中にガンガン響いて、その場から動けなくさせる。


こんなギターの音、初めて聞いたかもしれない。


綺麗な音じゃなくて、聞いている人を掻き立てるような焦らすような音。


私は首から下げていたヘッドホンを手に持って、ギターに合わせて歌った。


その場の即興で歌った。


ギターの音に合わせて次々言葉を繋いでいく。


最高に気持ち良かった。