「やっぱ、女の子は可愛くてぎゅーってしたくなるような子の方がいいのかなー?」
彼との心地良い関係が、3年目に差し掛かろうとしていた時…。
私も高校を卒業して大学へと進学していていて、18歳の終わり頃からなんとなく付かず離れずな、少し曖昧な関係の恋愛をしていた。
その人が突然、漠然とした自分の理想の女の子像を話してきて、私はその夜、彼にそう零した。
「んー?それってさー…今の爽香ちゃんのまんまじゃん?」
「…ふぅん………って、へっ?!私?!」
「ふわふわしててー、ぎゅーってしたら気持ち良さそうでー、凄く甘くていい匂いがしてー、なんかこう守ってあげたくなっちゃう感じで~……」
「ちょっ???!ま、待って!な、な、なに?何それ?何それー?!」
彼の急なコメントに、危うくスマホを床に落としそうになった。
別に、今の二人の間なら、大したことじゃないはずなのに、私の顔は火が出るほど真っ赤になった。
「あ、照れた。ほらー可愛いじゃーん?」
「でもでもでも!彼、そんなんじゃ全然ないし…今だって付き合ってんだかなんなんだか…」
「マジでー?んー…それは、ちょっとオススメ出来ないねぇ。あれ?そいつとどんくらいだっけ?」
「え、えーと、えーと…2ヶ月くらい。あ、でも…結構続いてる方なんだけど…やっぱり…かなりフラフラな感、じ…?」
「もー。爽香ちゃんはそういうのダメなんだから、ちゃんと言わないとダメだよ~?まぁ、向こうも爽香ちゃんがこんなタイプの子だから、そうなっちゃってんだろうけど」
曖昧な関係は、常に曖昧でしかなく。
どっちつかずの状態で、お互いの束縛は出来やしない。
それがわかっているから、今まで何も言えないでいたけれど…。
「う、ん。でも…」
「大丈夫。例えそいつがそれで爽香ちゃんのこと嫌っても、俺は絶対嫌わないから。」
「…ほんと?嫌いになんない?大丈夫?私嫌な奴じゃない?」
「今まで嫌いって俺言った?」
「うううん!!ない!一回も、なかった!」
「でしょ?じゃあ、大丈夫。ちゃんと、相手に自分の気持ち伝えることも、大事なことなんだよ?」
「うん。でも、私が傷つくのはいいけど…相手が傷つくのは…ちょっと…」
「大丈夫だよ。…人間はね、傷ついてもちゃんと癒される力を持ってるんだから…分かった?」
「ん。分かった。…じゃあ、彼とちゃんと話し合い…上手く出来るかどうか分らないけど、頑張ってみる」
「うん。上手くいってもいかなくても、電話しておいで。夜なら俺は空いてるから。てか掛けてこなくても俺から掛けるけどね」



