半分だけの吸血鬼。
 

こんなに綺麗な血をした子は、こんなに綺麗な心は知らなかった。


真紅が小埜の一族の中にいればよかったのにと思う。


そうしたら黎は迷わず真紅を主に選んで、一生を傍にいたのに。
 

でも、真紅は人間。徒人(ただびと)。


血をもらうなんて、それは禁忌。殺してしまいかねない。
 

恋しい人は求めても飽き足りない。


殺してしまうほど、愛するしかない吸血鬼。愛する人の血を。
 

……血を失えば、人間は死んでしまう。


ならば真紅は死なせたくない。


恋しいから。慕わしいから。……愛しいから。
 

すきになりかけているかもしれないと言われたときは、それこそ心臓が止まるかと思った。


自分が真紅に惹かれている理由は、その血だけだと思っていたから。