「いや、本当に命を救われたのは私だから。だから……」 「どうした?」 「……ちょっと、頭の中こんがらがってて……考えるから、時間ちょうだい?」 頭の中? 何か不安なこと……真紅を襲った何かのことだろうか。 「考えなくていい。今思ってることを言ってくれれば」 今、思っていることを。 黎も、真紅と話す傍ら考えていた。あれは―― 「全然、知らないから、不安」 (? 知らない?) 「何を?」