好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「いや、本当に命を救われたのは私だから。だから……」


「どうした?」


「……ちょっと、頭の中こんがらがってて……考えるから、時間ちょうだい?」
 

頭の中? 何か不安なこと……真紅を襲った何かのことだろうか。


「考えなくていい。今思ってることを言ってくれれば」
 

今、思っていることを。


黎も、真紅と話す傍ら考えていた。あれは――


「全然、知らないから、不安」


(? 知らない?)


「何を?」