「へー」 「疑わないのか?」 「なにを?」 「俺のこととか、話していることとか。普通に聞いたらただのヤバい奴だろ」 「あ、確かに。……でも、助けられた、のは本当だし……」 すっと、真紅の首筋に黎の指先が触れた。 「ごめんな」 「へ?」 「牙痕。これだけは俺にも消せなくて……女の子なのに、傷つけて悪かった」 最初は、血を頂くつもりで噛み付いた。 でも、生かしたいと思って、噛み付いた場所から自分の血を入れた。 人間に馴染むかは賭けだったが……真紅は、目を覚ました。