好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「そう。寝る前に話したのと足せば、母親がイギリスの血を引いた吸血鬼。父は日本の、こっちも人間ではない一族の首長。簡単に言えば鬼」


「それで……私の血? でも、助けてくれたんだよね?」


「うん。俺は完全な吸血鬼ではないから、いろいろ小手先が効く。俺の血を真紅に送った」


「黎の血を? え、じゃあ、今私――」


「真紅に流れてるのは、俺の血が混じってる」


「そんなことも出来るんだ。すごいなー」


「……それ以外にツッコむことないのか?」


「あ、っと。鬼の一族って言うのは、やっぱり日本には妖怪変化がいるの?」


「いるよ。人間ではないモノってのは、案外多い。姿かたちがよく似ているから、普通の人間には見分けがつかないんだろうな。

鬼は人間より長命だったり、死ににくかったり、あとは個人にもよるけど突出する才の幅が大きい」