好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「婚姻⁉ 黎恋人いるの⁉」
 

お、食いついてきた。予想外に反応が大きい。


「ちょ、何夜道ふらふらしてんの! 私彼女さんに申し訳ないことしてるじゃん!」
 

え。


「ちょっと、まこ


「駄目だよ彼女さんいるのに私にこんなことしたら、私顔向けできな


「落ち着けって真紅。彼女なんていねえし……」
 

真紅から離されようとした手を、摑み返す。


震えていた。細く震えている。
 

申し訳ない? 顔向けできない? ……真紅に近づいたら、そんな風に思われるのか?


「……俺が真紅に浮気みたいな真似したから、申し訳ないって?」


「………」
 

真紅は首を横に振った。雫が飛んだ。泣いて……いるのか?