+++ 「――――っ⁉」 血が、逆流する。 いきなり襲って来た感覚に、黎は胸元を摑んで膝を折ってしまった。 場所が院長秘書室だったのは幸いか。 病棟でこんなことになっていたら……。 今は誰もいない。院長である澪の父も、澪も、院長秘書も。 土曜日の昼の少し前の時間、黎は一人で雑務をしていたのだ。 (な、んだ? これは……) 今までにない感覚に、黎の顔はどんどん険しいものになっていく。 血が焼かれているようだ。思わず咳込んでしまう。 手で口を押さえようとして、はっとした。