好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



真紅が話すことに黎の頭がついていかない。
 

ぼけらんとしてしまった黎の胸倉を摑んで、真紅が頬に口づけて来た。


「言いに行くから、絶対に生きて。死ぬことに諦めないで。……私のこと、ほしいって思ってくれてるんなら、そう思ってて」
 

呆気に取られる黎に言い放ってから、手を放した真紅は一気に顔を真赤にさせた。


「そ、そういうことだから! 簡単に言うと私、影小路に入るから! それじゃ!」
 

そのまま、すぐ近くのアパートに駆け込んでいった。
 

…………。
 

真紅が触れた頬を押さえる。


「……行動が全然読めねえ……」
 

俺、近い将来婿にもらわれるらしい。