好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



真紅の肩にちょこんと乗った紫色の小鳥と視線がかち合った。


黎の胡乱(うろん)な視線を受けて、慌てて姿を隠そうとしている。


……ほんとーにもう関わっていやがったか、あのガキは。
 

すかさず紫色の小鳥を鷲掴みにする。


「おい鳥。まさかお前が真紅をそそのかして連れ出したんじゃねえだろうな?」


『のっ! のーっ!』


「ちょっ、黎! るうちゃんに何するのっ!」
 

黎に握りしめられて悲鳴をあげる紫色の小鳥を真紅が取り返した。


大事そうに掌に載せるのを見て、もやっとする。


しかもるうちゃんとか呼んでんのか。