「………」 一つ、考えていたことがある。 どうせもう、真紅から離れられそうにないのだ。 ならば、黎の一生は、真紅とともにあればいい。 「一人で残業?」 「勝手に入ると怒られるぞ。俺が」 「兄貴が怒られるだけなら毎日侵入してやろうか」 どうやって警備の目を抜けて来たんだか……弟だった。 「さっき梨実さんとこ来なかったけど、真紅ちゃんに逢わなくてよかったの?」