好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「………」
 

一つ、考えていたことがある。
 

どうせもう、真紅から離れられそうにないのだ。
 

ならば、黎の一生は、真紅とともにあればいい。


「一人で残業?」


「勝手に入ると怒られるぞ。俺が」


「兄貴が怒られるだけなら毎日侵入してやろうか」
 

どうやって警備の目を抜けて来たんだか……弟だった。


「さっき梨実さんとこ来なかったけど、真紅ちゃんに逢わなくてよかったの?」