好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】




「桜城真紅ちゃん?」
 

月御門別邸を出ようとした真紅への呼びかけに振り返ると、小柄な女の子が小走りでやってくるところだった。


肩口より少し長い髪はくるくるとしていて、走るたびに踊っている。


「百合緋様、昏い中危ないですよ」
 

後ろからやってくるのは天音だ。


少女は一度だけ振り返ってから、真紅の前に立った。


「はーい。白桜へのお客様よね? 私、水旧百合緋(みなもと ゆりひ)。真紅ちゃん、白桜のこと知ってるわよね?」
 

――とは、本当は女の子だということだろう、と何となく察せられた。