+ 「桜城真紅ちゃん?」 月御門別邸を出ようとした真紅への呼びかけに振り返ると、小柄な女の子が小走りでやってくるところだった。 肩口より少し長い髪はくるくるとしていて、走るたびに踊っている。 「百合緋様、昏い中危ないですよ」 後ろからやってくるのは天音だ。 少女は一度だけ振り返ってから、真紅の前に立った。 「はーい。白桜へのお客様よね? 私、水旧百合緋(みなもと ゆりひ)。真紅ちゃん、白桜のこと知ってるわよね?」 ――とは、本当は女の子だということだろう、と何となく察せられた。