「傲慢なのが人さ。手に入れるつもりなら、手にしたものを手放さない覚悟もしておけ。
俺は真紅の相談相手にはなれるが、指導者にはなれない。真紅はあくまで小路の人間だからな」
白桜は音もなく立ち上がった。
「黒に話を通して置く。今日より陰陽師として、また退鬼師として、学ぶことは山積みだ」
「うん。がんばる」
今、真紅の手には海雨の手がある。
そして、少し伸ばせばきっと黎にも届く。
『また』、と言ったのだ。あの人は。
また逢える距離にいてくれるはずだ。
――この手が届くうちに、掴まえて抱きしめる。
「帰りも無炎をつける。それから、これは俺からの提案なんだが、斎陵(せいりょう)学園に転学しないか?」
「……転学って、転校? 私が?」
「斎陵学園は、旧い家の人間が多いんだ。俺や黒としても、真紅が同じ学校にいてくれると色々とやりやすい。場所も遠いというわけでもなし。……考えておいてくれ」



