好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「………」


「誰かを助けるために何かを失うのは、望まない」
 

それがたとえ、自分だけのものでも。
 

真紅は白桜を見て、微苦笑した。困ったように。


「『今の私』を失ったら、海雨に怒られちゃう」
 

だって、海雨がいつも受け止めてくれていたのは『真紅』だから。


そして、黎が見つけてくれたのも『真紅』だから。
 

今、から、変わる気はない。
 

ただ、増やしていくだけだ。


「失う気はない。でも、手に入れる気はある。……傲慢(ごうまん)、かな?」
 

白桜は唇の端をゆるめた。