+++ 「………」 (ここ、東京……?) この門の中、全部樹海だったらどうしよう……。 涙雨に先導されて訪れた月御門別邸は、広すぎた。 ずっと同じ木の壁が続いているなあなんて思っていたら、月御門別邸を囲む塀だったらしい。 やっと門までやってきたのだが、見えるのは樹ばかりだ。 『真紅嬢? どうされた』 「えと……白ちゃん、ここに住んでるの?」 『白のひ――若君だけではないぞ? 御門の人間も何人かおる。無炎殿や天音殿も一緒じゃ』