好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


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「………」


(ここ、東京……?)
 

この門の中、全部樹海だったらどうしよう……。
 

涙雨に先導されて訪れた月御門別邸は、広すぎた。


ずっと同じ木の壁が続いているなあなんて思っていたら、月御門別邸を囲む塀だったらしい。


やっと門までやってきたのだが、見えるのは樹ばかりだ。


『真紅嬢? どうされた』


「えと……白ちゃん、ここに住んでるの?」


『白のひ――若君だけではないぞ? 御門の人間も何人かおる。無炎殿や天音殿も一緒じゃ』