好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



『大変じゃが、黒の若君を主とさだめたのは涙雨じゃ。

白の姫君に関しては残念な主様じゃが、陰陽師としては当代最強に違いない。

涙雨は、黒の若君の御為(おんため)に生きると決めたゆえ』


(………)
 

誰かの為に、生きる。


(……こんな時間に訪ねても迷惑じゃない?)


『白の姫君にこれから向かう旨、伝えることも出来る。真紅嬢さえゆく気になれば、白の姫君は待っておられよう。

……我が主様が好いたのは、そういう御方じゃ』