『大変じゃが、黒の若君を主とさだめたのは涙雨じゃ。 白の姫君に関しては残念な主様じゃが、陰陽師としては当代最強に違いない。 涙雨は、黒の若君の御為(おんため)に生きると決めたゆえ』 (………) 誰かの為に、生きる。 (……こんな時間に訪ねても迷惑じゃない?) 『白の姫君にこれから向かう旨、伝えることも出来る。真紅嬢さえゆく気になれば、白の姫君は待っておられよう。 ……我が主様が好いたのは、そういう御方じゃ』