好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



真紅は生来の力は強いだろうが、それを扱うことは一切経験していない。


それが出来なくてはただの『霊感の強い人』だ。


「海雨の方が、時間がかかるのは承知してもらうしかない。十年以上の瘴気なんだ、俺らでもすぐにとはいかないさ。……それに、本体を退治たのは真紅の霊力だ。同じ者が解きにかかった方が、海雨への反動は少ないはず」


「そりゃそうだけど……」


「真紅は、お前のとこに行くさ」


「……俺が
「小路流に入るっつー意味だぞ? 舌を噛む準備はいいか?」


「先読みし過ぎだろ! 拳握るな!」
 

黒藤が言いそうなことは大体察しがつくので、白桜は言わせないだけだ。


今だってどうせ、嫁どうの宣(のたま)う気だったろう。