「涙雨。現状ではお前が真紅の護衛をしているんだよな?」
白桜に問われて、先ほどの言葉が余程怖かった涙雨はひっしと真紅の肩から離れないでいて、その身を震わせた。
『そ、そうじゃ。黒の若君から言い付かっておっての』
涙雨は気丈に話そうとしているが、その声は震えていた。
白桜は気づいているのかいないのか、全くその様は意に介さない。
「なら当面は心配ないな。真紅、どこかへ出かけるときも、必ず涙雨と一緒にな?」
言われて、真紅は肯きながら涙雨を掌へ載せた。
『お嬢?』
「真紅でいいよ、るうちゃん。白ちゃんも……ありがとう。……ごめんなさい」



