言いよどんだ架は、そっと真紅の方を見て来た。
真紅は意味がわからず瞬く。
「……兄貴は、大事な子の傍に他の奴がいるのが赦せないみたいです」
……大事な子? 黎は、恋人はいないと言っていたが、そういう対象はいるのか……。
架の言葉を咀嚼する真紅だったが、なんだか気持ちが重くなっただけだった。
一方の白桜は真紅よりも解釈しているのか、納得している様子だ。
「それ以外には?」
「特には変にも思いませんでした。……俺が桜城としては血が薄いのは知っているでしょう。そう問われても……」
「鬼人としての話じゃない。兄弟としての話だ。お前は誰より兄を見て来たんだろう?」
「―――」
白桜にそう詰められて、架は唇を引き結んだ。



