好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「……なんで俺が真紅と一緒にいるとか、お前がぐだぐだ言うんだよ」


「え? だって兄貴、真紅ちゃんのこと好きだろ?」


「………」


「………」
 

三秒ほどして、黎の顔が真っ赤になった。


「あ、兄貴……?」


「ちょ、ちょっと待て架。落ち着け」


「いや、別に焦ってないけど。落ち着くべきは兄貴だろ」
 

急にしどろもどろになった黎。


なんていうか……乙女化している気がする……。似合わな。


「あー……傍(はた)から見るとそう見えんのか?」


「そうとしか見えなかったけど。病院で逢ったときも、俺が真紅ちゃんの友達だから腹立ててたんだろ?」