好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「……なんでじじいにそんなこと話さなきゃなんねんだよ」


「……は? 古人様、真紅ちゃんのこと知ってるだろ?」


「なんで」


「………もしかして兄貴、真紅ちゃんが『何』だかわかってないのか……?」


「真紅は真紅だろ」
 

もっともな返事に、兄は本当に知らないのだとわかった。


思わず片手で顔を覆う。


「……だから家に興味持てって言ってんだろ……」


「? うちと関係あんのか?」
 

………なんと説明しようか。


「――とにかく、今日帰ったら必ず古人様に、真紅ちゃんのこと話せ。桜木真紅って名前は知っている。

……古人様なら、兄貴が真紅ちゃんと一緒にいる方法を考えてくれるかもしれない」