好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】




黎と架の舌戦は、黎がかわして終わったようだ。


「じゃ、俺戻るから。またな、真紅」


「あ、うん。急にごめん。ありがと――
 

う、と言おうとして、真紅の思考回路は爆発した。


今、『またな』、って言った……? 


ただの挨拶かもしれない。でも、また逢える可能性があるということかもしれない。


「俺はもうちょっと追い詰めてくるね」
 

まだ言い足りないのか、架は爽やかに言って黎のあとを追った。