好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「いい、の……?」


「いいもなにも、こっちが訊きたいくらいのことだよ。……あたしたちが傷つけたのは桜木さんなのに、まだわからない人のことでゆるしていいの?」


「私は全然問題ないけど……。じゃあ、これからはよろしくお願いします」
 

真紅の顔がほころぶと、女子たちの顔も、更にどこか柔らかくなった気がした。


「うん。よろしくね」


「梨実さんにも、早く学校来てねって、伝えておいてね」


「あたしたちも今度、お見舞いに行ってもいいかな……?」
 

冷えていたものが急に融けて、真紅の気持ちが嬉しいものになっていく気がした。