歴代の月御門でも五指に入る強者と言われた先代・白里を軽く凌駕(りょうが)する黒藤の力。


黒藤がこれほどまでに強い力を持つ理由から、小路の中では腫れもの扱いというか、少し距離を置かれていた。


だから余計に、黒藤に対してなんのてらいもない白桜に懐いてくるのだ。


「……手伝えることがあったら、いつでも言えよ?」
 

白桜が言うと、黒藤は虚を衝(つ)かれたような顔をしたあと、ふわっと微笑んだ。


「そんときゃ頼むわ」
 

その面差しは、本当に白桜と黒藤の式によく似ていた。