「……黒」 「うん?」 「お前の座は、揺らがねえんだよな?」 確認に、黒藤は唇の端に笑みを載せた。 「さあ?」 愉快そうな顔をする幼馴染を、白桜は睥睨(へいげい)する。 影当代最強の陰陽師は、間違いなく黒藤だ。 しかし、黒藤は絶対的な力を持つ始祖の転生ではない。 もしも真紅が陰陽師として目覚めることがあったとき、当代最強の名を冠するのは、黒藤のままなのか――そして小路の跡取りは。