そう言って薄く開いた口元から零れる――鋭利な、牙。あ―――


「おに?」


「そ。ほら」
 

言って、青年が真紅の首筋に触れた。


どくりと鼓動の音。そこには確かにある、二つの傷跡――牙の跡。
 

ちをすわれた。


「あ……っ!」
 

背中に走る痛み。何? 何があった?


「動くな。お前、死ぬレベルの出血してたんだ。――って」


「………」
 

急に起こした身体は支えられなく、倒れこんだところに腕があった。


「言うこと聞けよ」
 

呆れ気味に言われ、真紅は悔しさに顔を歪めた。