お母さんに持たされた少し重たい荷物。


急に体調を崩したというおばあちゃんからの手紙が届いてからすぐ、お母さんは私――紅(ベニ)が見舞いに行けと言われて何やら持たされたこの荷物。


担ぎ直すためにその場で少し歩く足を止めた。


すっと荷物を担ぎ直して、再び歩き出す。


静かなこの道を歩くのもなかなかに久しぶりで、歩き慣れた道が私を歓迎しているような気がした。


フワッと吹く風に反射的に手で帽子を抑える。


誰もいないと分かっていても、誰にも見られたくない。


深く被って歩く足を早めた。


早く行って帰らなきゃ。


そう思って道を曲がろうとしたその時。


何かにぶつかった衝撃でそのまま尻餅をつく。



「……いた」



ボソリと呟いてぶつかったものを見上げる。


けど、見上げなくても私のすぐ目の前にそれはいた。