少し強い風が吹くと、帽子が揺れ動く。
きゅっと強く握られるその手から伝わる温もり。
ふっと前を見れば私の顔を覗く弦の顔。
すぐさま顔を逸らそうとするけれど、弦がそれを許さない。
「……何、急に」
淡々とした声でキッパリと言う。
それでも弦は動く気配を見せない。
これは勝負なのかもしれない。
ここはじっと耐えるしかない。
でも、なんだか馬鹿馬鹿しくなってこっちから弦を見た。
あまりの距離の近さに今度は弦が驚いて、距離を取った。
「……どう。少しは人格出てくるの抑えられそうになってきたの」
「えっいや……あんまり。出てくる時のタイミングとかよく分かんないし」
1ヶ月も何度も俺様が出てきてそれに対する対処法を考えてきたけれど。
どれも上手くはいかなかった。
抵抗力が着くわけでもなく、逆に人格が変わる一方で私は首を傾げることばかり。



