もう振り返らなくても誰だかわかる。
「鞠子先輩…どうしたんでか…?2年の教室まで。馨なら私、昼休みは会ってないですけど」
「あ、違うの!今日は結茉ちゃんに用事があって」
「…私に、ですか??」
予想外の彼女の言葉に私は、目を丸くして驚く。
「うん、でも、もうすぐチャイム鳴っちゃうから次の休み時間に話せる?そんな時間かかる話ってわけじゃないから。じゃあ、またあとでね」
最後に可愛らしく微笑み、鞠子先輩は、足早に三年生の教室がある階段を上っていった。
…私、まだOK出してないんだど…
そんな彼女の後ろ姿が見えなくなった後、私は、ポツンと廊下に立ちすくむ。
用事って何だろう…
正直、あまり聞きに行きたくはないが、仕方ないかと腹を括ることにした。
…馨のことかな…それともこの前のデートの時のこと?
そんな不安を抱えつつ、私は小さくため息をこぼした。



