「単刀直入に聞こう。なぜ俺を避ける?」


課長の口から初めに出た言葉がそれで、驚いてしまった。

なるべく普通にしていたつもりだったが、やはり課長にも気付かれていたようだ。


「別に避けているわけでは……。いつも通りにしているつもりですが」

「じゃあなんで俺と目を合わせないんだ?今もまったく俺の顔を見ないじゃねえか」



見ないんじゃない。……見れないのよ。

そう言いたかったが、言葉に出せずに無言になってしまう。



「なんか言えよ、高原」


なにも答えない私に、課長は相当苛立っているようだった。

その間にも、私と課長の距離は近付いていく。

なるべく距離を取ろうと後ずさっていたが、壁にぶち当たってしまい逃げ道がなくなってしまった。

しまった!と思ったときには遅かった。

課長は私を逃がさまいと、覆うようにして壁に両手をあてて私を見下ろす。

漆黒の瞳が私を射るように見つめ、心臓が早鐘を打つ。