帰り道、本田の運転する車のなかで、蘇芳が言ってきた。 「唯。 何故、目を合わせない」 「……なんとなくです」 と言いながら、唯は、蘇芳が居る方に背を向け、夜景を眺める。 所詮、自分も蛇の前のカエルだと知っていたからだ。 実際、フラフラと行ってしまったではないか――。