この人、翔太さんや慎吾さんにいろいろケチつけるけど。

 自分が一番女心がわかってないし、情緒もないんじゃ!? と思っている唯の目の前で、蘇芳は、

「唯、猫だ。
 綺麗なグレーの……」
と抱き上げたふかふかの猫の首許を見、

「飼い猫だ」
と言う。

「放してあげてください……」

 だがまあ、飼い猫らしく、人間に慣れていたので、結構愛想良く振る舞ってくれて、にゃあ、と鳴いて行ってしまった。