その言葉は一気に私の心を冷たくした。


「な、んで…?」


自分でもおかしくなるくらいひっくり返った声。

でも、それ以上に胃がひっくり返りそうになるほど痛くなる。


「お父様があちらで事故に遭われたんですって…。だから、凌太くんも今向こうにいるの」


「てか、いつ?!いつ、行ったの?!私、そんなの聞いてないっ!」


口を突いて出た言葉はやり場のない怒りを含んでいる。

こんなのお母さんにぶつけても仕方ないと分かっているのに。


「お母さん!」

「ななが、ぶっきらぼうに挨拶したあの日よ。精一杯我慢して、あんなに気丈にしてたのに、ななが気付いてあげなかったんでしょ?お母さん。本当はすぐに言うつもりだったのに、今日の今日まで、ななは凌太くんの事口にしないから…だから、言い難くなってしまったの…ごめんなさい」


心底すまなそうにするお母さんに、私は何も言えなくなる。

持っていたカバンをぎゅっと握り締めて、自室に戻りながら自分のこの動揺している心の理由について考えた。