『凌太がそれでも好きだよ。ずっと傍にいたいよ』


そう泣いた瑶に、俺は何も言えずに、肩に置いた手を解いた。
暫く、そのまま動かないで泣いていた瑶は、最後に小さく笑って、


『私なら、そんな顔させないのに…いいよ。もう。解放してあげる…』


そう言って俺の元を離れて行った。

『でも、忘れないで?凌太を好きな存在はここにいるって…』


その顔は酷く頼りなくて儚かった。



「バカみたいに、好き、なんだ。ななじゃないとダメなんだ…もう、遅いけど…」


こんな想いをするなら、もっともっと素直になればいいんじゃないかと思った。


『傷付いて、傷付けて、人は成長するんだ』


なんかの歌の文句にそんなのがあった気がする。


「今度は、ごめんの代わりに…」

気付いたんだ。
瑶と付き合ったからこそ、どれくらいななの事が大切なのかを。

俺の身勝手な想いで、傷付けたくないと思い込んで、封印してしまった気持ちを…もう抑えることは出来ないんだって事を。