「あの、さ。柴谷さん、自分で気付いてないかもしれないけど、柴谷さんにとっても沢木は大事な存在だろうから…失くさないように、な?」

「…はい。ありがとうございます」

ぺこりと私は先パイに頭を下げて、先パイのいる体育館から離れて、そのまま校門に向かった。



__ケジメ、ついた、かな…。


今日はクリスマスだ。
そんな時にフラれるとか、本当なら最悪なのかもしれない。
でも、私は今…ヘンな言い方だけど、清々しい気持ちでいっぱいだった。

元々先パイには、自分の気持ちを聞いて欲しかっただけで、もし「OK」されても、その先のビジョンは見出せなかったから。



__これで、良かったんだ…。


私は歩き出しながら、ほっと息を吐く。
それが、安堵の溜息なのがなんだか可笑しくて、くすりと笑った。