「えっと…ごめん。俺、今付き合ってる子いるからさ…」


冬休みに入って間もなく。
殆ど用事のない学校に来たのは、…さっさと事を終わらせてしまいたかったからかもしれない。
…本当に、用事という程の事でもない。

案の定、私は今、青木先パイから見事にきっぱりとフラれている最中。


「なんか、ほんとに、ごめんな?」

「あ、いえ。先パイ程の人なら、きっとそうだろうなーって思ってましたから。ただ想いだけどうしても伝えたくて…すみません。なんだか自分勝手で…しかも気を遣って頂いちゃって…」

「や、いいよ。俺こそ柴谷さんみたいな子から、告白してもらえるなんて思ってなかったし…俺、てっきり沢木と付き合ってるんだと思ってたからさ…」

「え…?」

「だって、沢木、柴谷さんのこと、すげぇ大事にしてるし。…俺なんか滅茶苦茶牽制されてたし…」

「そんな…」

「気付いてなかった?でも、あいつ良い奴だと俺は思うよ?一人の女の子守るのに、あんなに真剣になれるとか、尊敬する。うん。まぁ睨まれてた時はむかついたけどね」


ははっと笑う先パイは凄く優しくて…少しの間でも好きになれて良かったと思った。

…そう、不思議と傷付いたとかはなくて。
逆にフッてもらえて良かったなって、そう思ったんだ。