確かに、そりゃまぁ、そうなんですけどね…。
でもさ、それでも…。

「あー…もー…なんで、俺の事好きになんないんだろ…?」

わしゃわしゃと、猫っ毛の髪を掻き混ぜた。

「なっさけねぇ顔してんなよ。そんなに好きなら、もっとアピールしてみりゃいいんじゃねーの?」

ーーお前の見た目なら、大丈夫じゃね?

そう、仁は言うけれど。

「それが通用するなら、10何年も片想いしてないって」

そう呟いて、今度はぐったりとテーブルに突っ伏した。

だって、相手は幼馴染のななだもん。
今更、格好付けたって所詮「チャラ男」で終わっちゃうだろうし。
てか、今よりもそんなイメージを付けられて、これ以上ウザがられるのだけは、ごめんだ。
じゃなくても、ななは学園一の美少女となり、

「柴谷さん!付き合って下さいっ!」

なーんて言葉があちこちから聞こえてくるくらいなのに。

「チャラ男が、"好き"とか訳分かんない」

そんな風に言われたら、ショック過ぎて立ち直れない…。