てくてくと歩きながら、横に並ぶ綾乃の表情を伺ってみるものの、その横顔は何かを思い詰めているようにも怒っているようにも見えて…。

「あのさ、話…って、なに?」

私は恐る恐る、綾乃に声を掛けた。

「決まってんでしょ。凌太くんの事。それから、なんだっけ?あぁ…青木だっけ?その先パイの事。今までイマイチ歯切れが悪いから、言いたくないのかと思って黙ってたけど。
あんたの態度あからさまで、酷いよ?」


その的確且つ辛らつな口調に「うっ」と言葉に詰まる。
確かに、自分が片想いするなんて思わなかったし。
その前に、りょーたがモテていた事も、彼女が出来た事も本人から聞く事が出来なかったのがこんなにも嫌だと思うなんて思いもしなかったし…。
それで、子供みたいに拗ねてりょーたを避けてしまうなんて…認めたくもなかったけど。


「凌太くん、相当悩んでた。ショック受けてた。…幼馴染なんでしょ?だったら、そうなるってなななら分かったはずじゃん。私、そういうの悪いけど最低だと思う」

髪を乱雑に掻き上げて、綾乃はマフラーを巻き直すと、私の方を真っ直ぐに捉える。