なんで、こんなにキツいのかな…。
面倒とか、そんなんじゃなくて、瑶を泣かせた事が素直に胸を痛ませる。
…そんな資格、俺にはないはずなのに。


「瑶…俺、全然優しくなんてないよ?だって、実際こんな風に瑶の事傷付けてる。…だけど、俺…瑶と付き合った事、後悔してない。こんな俺の事、好きだって言ってくれたし。
沢山沢山、温かい想いもらったし、それに…」

「凌太…っ」

「…え」


精一杯謝罪の言葉を選んで口にしていた俺に、瑶がぐっと近寄って来て、次の瞬間。

とん。

そんな軽い音がするほど静かに、俺の胸元へ身を預けて抱き付いてきた。
初めてに近い、ダイレクトな瑶の温もり。
その肩は思っていたよりも、ずっと細くて…胸が軋むほど震えていた。


「…瑶…」

「いい。何も言わなくて。ただ、今は。今だけは…こうしてて…」

その掠れた声も苦しいくらいに震えていて、俺はどうしようか少しだけ思案した後、そっと瑶の肩に片手で触れた。