クリスマス当日。
ざわめく、街並み。
煌びやかな喧騒。
ただ、そこから切り離されたように、さっきから一言も言葉を交わさない俺達。


「…瑶?」

「………」


意を決して、声を掛けるも瑶は黙ったまま俺の方をチラリと見るだけ。


繋げる距離にいるのに、いつものように手を差し出してこない瑶。

そこに、冷たい風が吹き抜けていく。


「…凌太…」

「…ん?」

やっと口をきいてくれた瑶の瞳には涙が溜まっていた。
それを見て、俺は何も言えなくなる。
でも、瑶は、そんな俺を真っ直ぐに見てこう言った。