途端に機嫌が悪くなるなな。

「ほんっとに、あんたってチャラくて最低!彼女さん可哀想でしょ!いい加減にしてよね!」

ふんっと鼻息を荒くして言う、ななは耳まで赤い。
その体をぎゅっと抱き締められたらどんなにいいか。
だけど、今の俺には、なながあまりに遠過ぎて…。

「…ゴメンね?なな」

そう、わざとバツの悪い顔で笑った。

なな、俺、本当は…ななが好きだよ?
けど、もう諦めなくちゃいけないのかな?
ななは、俺なんか必要ない?
俺は無意識に口元に手をやった。

「…何よ?」

「いや、なんでもないよ?」

「ウソつき。りょーた、昔からウソつく時、そうやって口元に手をやるんだもん。他の人が分かんなくても、私にはお見通しなんだからね!」