「そっか…。じゃあ、仕方ない、よね?でも、私がりょーたを好きな気持ちは変わらないよ…もう、ずっと変わらない…」

「うん…でも…。今は、…元通り、幼馴染に戻ろ?…頼む、から…」

「……っ、それは、いや。それだけは、いやだよ。我侭かもしれないけど…こうやってちゃんと気付けたのに、今更なかった事になんか出来ない…」


俺は、どうしようもない気持ちを抑える為に、テーブルの上で拳を握り締めた。
そこに、ななの手が重なる。


「…なな…?」

「ごめん…困らせたいわけじゃなくて…」

「ん。大丈夫。分かってるよ…ななのことなら、なんでも知ってる…ていうか、知ってたい…」

「何時まで日本にいられるの?」

「まだ、決まってないけど…正式に留学の手続きが終わったら…」

「…じゃあ、それまでの間、りょーたの時間を私に頂戴?…全部、全部…」

「なな…?」

「私はりょーたに、私のことを全部知って欲しいよ…忘れないでいてもらうために…」


俺は、その言葉に握り締めていた手を開いて、ななの事をテーブル越しに抱き締めた。
そして、噛み付くようなキスをする。
何度も、何度も…。


こんなに幸せなことが、起こってもいいんだろうか。
出来るならば、このままこの世が終わってしまえば、いいと。
そんな風にさえ思ってしまう。



今、温もりを分け合えるのならば…。
もう、何もいらない。
この身全てで、キミを刻み込んで、俺は死んだって構わない。


「なな…ななを、俺だけのものにする…それでも、いいの?」



頷くななの腕を引いて、俺は自分の部屋へとエスコートした。
逸る気持ちをなるべく押さえ込んで…。