彼女には悪いけど、その好意に甘えてしまおうか…。
ずるいけど、…分かってるけど。

ただ、今は…この気持ちを掬ってくれる人が必要で、求めているものを与えてくれるなら、それで良い気がしたんだ。


「じゃあ、先パイ。よろしくお願いします…」

ぺこ、っと小さく頭を下げると、彼女は、満面の笑みで頷いてから、

「瑶、でいいよ。今から彼女になるんだから」

と提案して来た。
俺は静かに了承する。

「ん。じゃ、…瑶、この後どっか行く?」

「そーねぇ……じゃあ、ボーリングとかは?スカッとするよ?」

「おー。いくいく」

ただ、ただ、俺は求めたいだけだった。
それが一瞬の出来事だとしても。
愛しさよりも苦しさの方が後からやってくるなんて、思いもせずに。