他の人に迷惑が掛からないように程度に、足早に病室へ戻ると母さんが親父の手を握っている所だった。


「あなた…っ!」

「親父…?!」


ただならぬ雰囲気に俺のつかさずベッドへと駆け寄った。
そして、恐る恐るベッドの上を見ると、そこには瞳を眩しそうに開いて天井を眺めている親父の顔があって。
俺は安堵の為に、力だ抜けて膝がかくん、と抜けた。


「……ここ、は…?」

「リューイチ、ここはホスピタル。キミはあの場所から落ちたんだ…」


アンディは、余程意識が戻った事が嬉しかったのか、今までの流暢な日本語とは違って、片言の日本語と英語が入り混じった言葉で、親父に状況を説明していた。
それに対して、ゆっくりと頷いて静かに話を聞いていた親父は、俺の方を見るとすまなさそうに微笑んだ。