どこをどう歩いて来たのか。
分からないままフラフラと、街の中を彷徨って。
気付けばもう大分日が落ちている。



キィ…。


何時の間にか、家に辿り着いた私は深呼吸すると門を開いた。
のろのろと中へ入ろうとすると、不意を突いて後ろからぐいっと引っ張られる。


「…見付けたっ」


急な展開に頭が付いていかない。



「…おい。お前、また一人で泣いてんのか?」


目の前には、朝見掛けたままの石井ちゃんの姿があって。
少し汗ばんだ額に張り付いた前髪を指で払い除けながら、苛立ちを隠し切れないような顔で私を見下ろしていた。


「原因は聞くまでもねぇな。お前さ…これ以上、見てられねぇんだよ。お前の事平気で泣かせるようなヤツに…お前の事幸せにする資格なんて、ねぇ」


ぎゅうっとそのまま抱き寄せられて、新しい涙がつぅっと頬を伝った。