夜の10時。
いつもなら、キッチンから食パン1枚を拝借して、スウェット姿で裏口から出ていくあたしだけど。
ベッドの上で膝を抱えたまま。
黎が、お兄ちゃんと同級生だった。
世の中の人があたしを知るのとはまた別で、クラスメイトの妹として知っていたことになる。
どうして言ってくれなかったの……?
幾度となくお兄ちゃんの話を持ち出していたのに、黎が一言も言ってくれないなんて不自然すぎる。
出逢ったその日に、言ってくれてたら。
……なにかが変わった?
時計の針はどんどん進んでいく。
あたしは、公園には行かなかった。



