そんなものがないあたしがこの家に生まれたって、その肩書が重くのしかかるだけで、
「あの家になんて、生まれなきゃよかった……」
ポツリ。
地面に落としたのは、本音。
この間、お兄ちゃんにもぶちまけてしまった本音だった。
「そんなの今だけの辛抱だろ。どうせ女は結婚したら外に出れんだし」
「……っ……」
結婚、なんてワードに、胸がドキッとなる。
だけど。
そんな簡単に言うけど。
「……極道の娘を、お嫁さんにしてくれる人なんていないよ……」
軽く言わないでよ。あたしだって分かってる。
誰が好きこのんで、極道の娘なんかを……。



