夜10時を過ぎた公園は、ジョギングをしている人も犬の散歩をしている人もいない。
昼間は日差しをしのいでくれる木々も、闇の中ではうっそうとしているだけで、不気味さを醸し出している。
でも、彼とわんこがいる夜の公園は、あたしにとって至福の場所となっていた。
わんこを交えて、他愛もない会話をする。
約束をしたわけじゃない。
けれど、それが日常になりつつあった。
今日もベンチに座り、わんこを膝の上にのせる。
わんこはすっかりあたしにも懐いている。
彼には怒られたけど、手ぶらでいくのも気が引けて、あれからいつも食パンを持参していた。