目の前では、相変わらず紫煙が立ち上っている。 「ねえ……あなたは……あたしが怖くないの?」 素性を知れば態度を変える人ばかりだった。 なのにこの男は、顔色ひとつ変えず。 「怖くはねえけど」 流し目を注いで。 「出来るなら、関わりたくねえな」 遠慮のない、でも気持ちがいいまでの主張は、テルさんを彷彿とさせる。 それが案外心地よくて。 「だったら……あたしを連れて逃げてよ……」 関わりたくないと明らかに言われているのに。 正面切ってモノを言う彼だからこそ、そんなことが言えたのだ。