「……は?明らかに怖がってただろうが」
「べつに怖くなかったですし、そもそも、あたしに怖いモノなんてないですから」
あと5秒で良かった。
助けてもらわなくても、本郷の名前を出したらチンピラたちは逃げて行ったはず。
「はっ、よく言うよ」
だけどその、バカにするような笑いが悔しくて。
「あ、あたし、本郷家の娘なんだから!あの柳迅会の本郷っ……!」
この人に言うつもりなんてなかった素性をバラしてしまった。
……どう?
ビビった……?
一瞬の間のあと。
「……だから?」
男は、興味もなさそうに再び紫煙を吐き出した。



